FX取引:中上級レベル

中上級
Trading101
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Duration 20 時間

エリオット波動理論:様々なタイプのジグザグ

今日知られているエリオット波動理論は、1900年代半ばに登場しました。ラルフ・エリオットは、どんな市場にも理由があって変動し、その理由とは、群衆行動に関係することだと信じていました。

よって、エリオット原理全般は、群衆行動の理解とその取引に焦点を当てています。

そのため、この理論はどんな金融市場にも応用できます。人間が接触している場所ならどこでも、エリオット波動理論が機能します。

これまでのところ、取引アカデミーの中級では、修正波のフラットタイプをご説明しました。さらに、衝撃波よりも修正波のほうが頻繁に形成されることも述べてきました。

一つの例外を除けば、そのことは正しいです。その例外とは、大きな度合いで、衝撃波が修正波の構成要素になっている場合です。

例えばフラットパターンでは、c波のみが衝撃波です。すると、大きな度合いでのフラットでは、一つの衝撃波が存在します。

ジグザグでは異なります。ジグザグは衝撃波活動に似せた唯一の修正波であるため、最も人を惑わせるパターンです。

こうした理由から、エリオット波動トレーダーのほとんどは、ジグザグを衝撃波として分類します。その代わり、ジグザグが一つでなく、二つの衝撃波を持っていれば、そのパターンの「a」波と「c」波になります。

下記は、ジグザグの見分け方のヒントです。

  • ジグザグはチャネルを形成するが、衝撃波は形成しない。よって、チャネル形成する変動の波を数字(で分類した場合は不正解となる。
  • 一般的に、ジグザグの「a」波と「c」波の長さは等しい
  • ジグザグのb波は、前の「a」波の61.8%以上リトレースしない
  • c波は「a」波の終わりを越えなければならない

もうすでに、ジグザグとフラットパターンの主な違いがお分かりかもしれません。つまり、b波のリトレースメントが違います。

繰り返しになりますが、フィボナッチ黄金比(61.8%)がエリオット波動理論でなければならない役目を果たします。しかし、ここに罠があります。通常b波はとても弱く、前の「a」波の23.6%から最大38.2%をリトレースすることはほとんどありません。

したがって、b波が前の「a」波の61.8%以上をリトレースしているのを見たら、この全パターンの波が間違って分類された可能性が高いということです。

FX取引におけるジグザグのタイプ

ジグザグを形成するには、市場は2つの衝撃波を形成します。他の5波構成内の初期トレンドを再開する前にb波が修正することは滅多になく、一息つくために小休止するのみです。

経験則では、b波の最小リトレースメントレベルはたったの1%です。FX取引ではこれは実質上ゼロなので、例えばアジア市場が開いているときのような水平持ち合いのときも、b波がジグザグとなるのには充分な状況です。

上記は典型的なジグザグ表示です。お分かりのように、エクステンションがないというシンプルな理由で、衝撃波と考えることは難しいです。

しかし、低度においてのみ、a-b-c構成の衝撃波は一つでなく二つです。ジグザグ構成内で、弱気市場の一つの衝撃波活動よりも、さらに多くの価格変動を起こします。

加えて、「a」波と「c」波が同じ長さであることが、衝撃波ではなく修正波であるというもう一つの手がかりです。

ジグザグをフラットパターンとさらに比較すると、c波の長さがジグザグのタイプを決めます。c波の長さをもとにした、下記の3つのジグザグタイプがあります。

1. 切頭 ジグザグ。

このようなジグザグは、FX取引での形成は稀です。ジグザグが「切頭(トランケート)」するには、c波は「a」波の61.8%以前で終わる必要があります。」よって、見つける方法は

  • MT4 プラットフォームで、フィボナッチ・リトレースメントを選択
  • 「a」波の長さを最初から最後まで測る
  • 61.8%レベルを見つける
  • 距離を測るためにトレンドラインを引く
  • c波の最終地点からの距離を出す

c波がa波の61.8%以前で終わっていれば、ジグザグが切頭しています。切頭ジグザグに続く価格動向がジグザグ全体をリトレースするため、この意味合いは非常に大きなものです。よって、ジグザグは偽の動きだったことになります。

2. 引き延ばされたジグザグ

これはまた別の稀なパターンです。引き延ばされたジグザグは、c波がパターン全体で最長となります。言い換えると、c波をとても強力にしている衝撃波は、全ての潜在的なストップを通りすぎます。

c波の最短距離は「a」波の161.8%で、下記のように同じ手順が必要となります。

  • MT4 プラットフォームで、フィボナッチ・リトレースメントを選択
  • 「a」波の長さを最初から最後まで測る
  • 61.8%レベルを見つける
  • 距離を測るためにトレンドラインを引く
  • c波の最終地点からの距離を出す

3. 通常のジグザグ

最も一般的なジグザグタイプです。通常のジグザグはFX取引によく出現します。パーセンテージで言うなら、80%以上がこのケースです。ですから、引き延ばされたジグザグまたは切頭ジグザグが稀なことを考えると、この二つの稀なジグザグに分類するのは気乗りしないことかもしれません。

FX取引におけるダブルジグザグ、トリプルジグザグ

エリオット波動理論では、トライアングルが唯一反転パターンとして動く理論であることから、複雑な修正波についてはすでに触れました。よって、x波の介在波または継続波としての概念は、もうおなじみでしょう。

しかし、x波はどんな複雑な修正波にも出現します。最も複雑なものは取引アカデミーの他のセクションでご説明しますが、ジグザグはダブルジグザグ、トリプルジグザグほどアグレッシブではないことには、ここで触れておく価値があるでしょう。

ジグザグ、ダブルジグザグ、トリプルジグザグが形成する状況をそれぞれ比べると、FX取引ではダブルジグザグとトリプルジグザグが出現する可能性のほうが高いです。

さらにFX市場はしばしば、2つだけでなく4つや6つの連続衝撃波を形成します。そしてこのときは常に、修正波をほとんど、あるいは全く形成しません。

ダブルジグザグの条件は

  • 最初は通常のジグザグ、または引き延ばされたジグザグ
  • 非常に小規模のx波が、この最初のジグザグをリトレースする
  • 2番目のジグザグが引き延ばされたジグザグであることは稀
  • チャネルをうまく形成する

トリプルジグザグでは、

  • 最初は通常のジグザグ、または引き延ばされたジグザグ
  • 非常に小規模のx波が、この最初のジグザグをリトレースする
  • 二番目も通常のジグザグ、または引き延ばされたジグザグ
  • 二番目のx波は最初のx波より時間がかかる
  • 最後のジグザグが、引き延ばされたジグザグであることは稀
  • チャネルをうまく形成する

トリプルジグザグは上の図のように見え、市場は2つの介在波(x波)に接続した6つの低度の衝撃波を形成します。

結論

エリオット波動理論のことを初めて耳にしたトレーダーは、市場へのシンプルなアプローチだという印象を持ちます。ある意味では、衝撃波と修正波の基礎に従って理解するのは難しいことではありません。

しかし、全てをFX取引に応用するには、5波の変動をカウントしたり、3つの修正変動を分類したりするだけにとどまりません。ジグザグが複雑だと思うなら、ランニング修正について、引き延ばされたパターンが形成される場所、そしてエリオット波動でのトップとボトムの見分け方を解説した、取引アカデミーの後の記事を待ってください。

ただし、これはエリオット波動理論のコースではありません。この理論が全市場、特にFX取引に及ぼす影響を説明するコースです。

今日、FX取引は毎秒何千もの売買を行うロボット、または取引アルゴリズムに支配されています。そのような技術を前に、依然として有効な戦略とは何でしょうか?

エリオット波動理論が有効です!なぜなら、ロボットは人間が設定したプログラムやルールに従い、市場には依然として悲観や楽観が存在するからです。よって、群衆行動がFX取引からなくなってはいないのです。