FX取引:中上級レベル

中上級
Trading101
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Duration 20 時間

エリオット波動理論:異なるタイプのフラットパターン

エリオット波動理論は、金融市場の次なる上昇または下降変動を予測するため、市場の悲観と楽観を解釈します。テクニカル分析として巧みなアプローチであり、エリオット理論の原理は「宇宙の秘密」を見つけたと主張し、エリオットは自身の理論をその秘密の最終版だ、と誇りをもって呼びました。

エリオットは、人生の最も重要な部分をこの理論に捧げました。エリオットは、自分が株式市場でつくった予測の正確さに自信を持ち、この理論が完成するまでは、決して諦めることはありませんでした。

この理論が発展したのは1950年代以前だったので、理論の試みは株式市場で行われました。そのため、エリオット波動理論を信じない人は、FX市場と株市場はまったく違うものなので、今日のFX取引では上手く機能しないだろうと反論します。

しかしこの理論は、人間性と心理的アプローチがより取引にもたらす点を考察します。人々が感じることと、取引の舞台で行うことを総括しています。さらに、他の多くの理論が心理的要素を扱わなかったため、エリオット理論はテクニカル分析のしくみも変えました。

エリオットは市場をサイクルに分けました。そして、各サイクルには二つのフェーズがあります。つまり、衝撃波と修正波です。

二つを一緒にして、1-2-3-4-5 – a – b – cと分類しました。これが、エリオットのサイクルにおける基本の数え方です。

トリックとしては、多くの衝撃波が存在し、さらにそれ以上の修正波が存在することです。エリオットは全ての修正波を分類するのに悪戦苦闘したため、手始めに修正波を二つに分類しました。それが、シンプルな修正と複雑な修正です。

FX取引でのシンプルな修正としてのフラット

エリオット波動理論は、フィボナッチ比率なしには機能しません。実際に、エリオットはフィボナッチ比率がとても便利だと感じたため、様々な市場パターンを区別するのに主なツールとして使用しました。

フラットを簡単にまとめると、

  • 3波構成
  • a-b-cと分類
  • 「a」波と「b」波は修正の性質を持つ
  • 「c」波は衝撃波活動をする
  • 「b」波は「a」波の61.8%以上リトレースする

黄金比率が、フラットのタイプを決めるカギとなります。よって、a波の領域内のb波のリトレースメントをもとに、エリオットは3タイプのフラットを見つけました。

1. b波が弱いフラット

b波が弱いフラットは、前にあるa波の80%以上リトレースできないことを示します。トレーダーは、フィボナッチ比率を使って「a」波の長さとその80%のレベルを測ります。

さらに正確に言えば、b波は前のa波の61.8%から80%の間で終わらなければなりません。もしそれに当てはまれば、市場はb波が弱いフラットを形成しています。

2. b波が通常のフラット

b波が、前にあるa波の80%から100%の間でリトレースしているとき、b波が通常のフラットと呼ばれます。

3. b波が強いフラット

b波が100%以上のリトレースメントレベルのフラットです。138.2%、161.8%、さらにそれ以上のときもあります。このような場合は、b波が強いフラットです。

エリオットは、b波の長さが次の動きを分類する決め手となることを見つけました。言い換えると、市場がb波の弱いフラットを形成すれば、エリオットサイクルで出現するフラットにおいて、より大きな度合いのパターンが数個あるということです。

または、もしそのパターンが強いb波を持つフラットで、前のa波の161.8%以上のリトレースメントレベルである場合、それに続くc波がb波の全長をリトレースすることはできません。ですから、エリオットの全理論はただ論理的なプロセスなのです。市場が現在行っていることをもとに、次の段階を暗示します。

FX取引は、フラットパターンに容易に適合するほど、変動が常時あるものです。やらなければならないことは、変動のなかに衝撃波活動があるかどうか調べることです。なぜなら衝撃波はあまり一般的ではなく、論理的なエリオット理論プロセスが、この動きは修正波の可能性が高いことを示しているためです。

謎のC波について

これまでのところでは、フラットパターンをb波の長さをもとに3つに分類しました。さらに、各グループには3つのフラットパターンがあります。

c波の長さがパターンを決め、b波がカテゴリーを示します。ですから第一カテゴリーには、下記のように3つの状況があります。

  • c波はb波の全長をリトレースしない
  • c波は、前のb波の100%から138.2%の間で終わる
  • c波は138.2%以上延長する

c波が5波構成を持つ唯一のフラットパターン部位である、または衝撃波であることを思い出してください。

上記の各状況は、b波が弱いカテゴリーに属する、フラットの異なるパターンとなります。

  • ダブル・フェイラー(未完)のフラット
  • bフェイラーのフラット
  • 引き伸ばされたフラット– 紫色のa-b-c で、同じ度合いの二重複合の一部

第二のカテゴリーでは、同じく3つの状況が存在します。

  • c波はb波の全長をリトレースしない
  • c波は前のb波の100%から138.2%の間で終わる
  • c波は138.2 % 以上延長する

これらを基にすると、対応するフラットは

  • cフェイラーのフラット
  • 共通のフラット
  • 引き延ばされたフラット

最後に、第3カテゴリーのフラットは同じ前提で始まります。

ですから、第一カテゴリーでは3つの状況が存在するのです。

  • c波はb波の全長をリトレースしない
  • c波は前のb波の100%から138.2%の間で終わる
  • c波は138.2%以上延長する

そして、対応するフラットパターンは

  • イレギュラー(不規則)フラット
  • イレギュラー・フェイラー
  • 引き延ばされたフラット

c波の長さの3つの可能性が、フラットタイプを決めます。これが、全フラットカテゴリーに先がけて上述して触れた理由です。

9つのフラットタイプをここでご説明した以外に、もう一つあります。それがランニングフラットです。ランニングの概念はしばしば誤解されるため、取引アカデミーの別記事にてさらにご説明します。

上述した全フラットタイプは、何かを示しています。例えば、フェイラーのフラットは、反トレンドの強さを示します。

よって、フラットが弱気の修正または弱気の修正の一部であれば、そのシンプルな存在は、強気の状態の前兆となります。

二つのフェイラーフラットの間、つまりダブルフェイラーの間が最も強力です。80%以上リトレースしないb波と、b波を完全にリトレースするc波が、反対方法に大幅に動く余地を残します。

結論

フラットパターンは、エリオットが見つけた中で最も数の多いパターンです。FX取引でもそれは見て取れます。

最もよく観測するパターンがあるなら、それはフラットパターンです。通常のFXチャートを開き、市場が素早くリトレースするときのみ、前の高値または低値をとって両方向への変動を見てください。それがフラットパターンです。

トレーダーが何に重きを置くかによって、フラットパターンは大きな度合いでの分析に有効かもしれませんし、そうでないかもしれません。例えば、トレーダーが衝撃波を想定したけれども、市場の最初の変動が修正波だった場合、どこかに間違いがあるということです。

または、トレーダーがトライアングルを想定したけれども、セグメントの一つが衝撃波だった場合、そのセグメントはフラットのc波だということです。よって、トライアングルは存在しません。

理論の全てが、このような例で埋め尽くされています。結局これは、市場の変動が衝撃波なのか修正波なのかという、一つの質問に答えることから始まる論理的プロセスなのです。

答えが修正波なら、次の質問は、どんな種類の修正波なのか?です。フラットなら、どのカテゴリーで、どのタイプのフラットでしょうか?

この方法で全ての可能性を排除し、市場サイクルの正しい解釈がトレーダーの手元に残ります。トップダウン分析の一部であれば、論理的プロセスは月足チャートから始まり、4時間足チャートおよび1時間ごとの時間枠で終わります。

これがFX取引で機能する、エリオット理論唯一の方法です。