エリオット波動理論:異なるタイプのフラットパターン
エリオット波動理論は、金融市場の次なる上昇または下降変動を予測するため、市場の悲観と楽観を解釈します。テクニカル分析として巧みなアプローチであり、エリオット理論の原理は「宇宙の秘密」を見つけたと主張し、エリオットは自身の理論をその秘密の最終版だ、と誇りをもって呼びました。
エリオットは、人生の最も重要な部分をこの理論に捧げました。エリオットは、自分が株式市場でつくった予測の正確さに自信を持ち、この理論が完成するまでは、決して諦めることはありませんでした。
この理論が発展したのは1950年代以前だったので、理論の試みは株式市場で行われました。そのため、エリオット波動理論を信じない人は、FX市場と株市場はまったく違うものなので、今日のFX取引では上手く機能しないだろうと反論します。
しかしこの理論は、人間性と心理的アプローチがより取引にもたらす点を考察します。人々が感じることと、取引の舞台で行うことを総括しています。さらに、他の多くの理論が心理的要素を扱わなかったため、エリオット理論はテクニカル分析のしくみも変えました。
エリオットは市場をサイクルに分けました。そして、各サイクルには二つのフェーズがあります。つまり、衝撃波と修正波です。
二つを一緒にして、1-2-3-4-5 – a – b – cと分類しました。これが、エリオットのサイクルにおける基本の数え方です。
トリックとしては、多くの衝撃波が存在し、さらにそれ以上の修正波が存在することです。エリオットは全ての修正波を分類するのに悪戦苦闘したため、手始めに修正波を二つに分類しました。それが、シンプルな修正と複雑な修正です。
FX取引でのシンプルな修正としてのフラット
エリオット波動理論は、フィボナッチ比率なしには機能しません。実際に、エリオットはフィボナッチ比率がとても便利だと感じたため、様々な市場パターンを区別するのに主なツールとして使用しました。
フラットを簡単にまとめると、
- 3波構成
- a-b-cと分類
- 「a」波と「b」波は修正の性質を持つ
- 「c」波は衝撃波活動をする
- 「b」波は「a」波の61.8%以上リトレースする
黄金比率が、フラットのタイプを決めるカギとなります。よって、a波の領域内のb波のリトレースメントをもとに、エリオットは3タイプのフラットを見つけました。
1. b波が弱いフラット
b波が弱いフラットは、前にあるa波の80%以上リトレースできないことを示します。トレーダーは、フィボナッチ比率を使って「a」波の長さとその80%のレベルを測ります。
さらに正確に言えば、b波は前のa波の61.8%から80%の間で終わらなければなりません。もしそれに当てはまれば、市場はb波が弱いフラットを形成しています。
2. b波が通常のフラット
b波が、前にあるa波の80%から100%の間でリトレースしているとき、b波が通常のフラットと呼ばれます。
3. b波が強いフラット
b波が100%以上のリトレースメントレベルのフラットです。138.2%、161.8%、さらにそれ以上のときもあります。このような場合は、b波が強いフラットです。
エリオットは、b波の長さが次の動きを分類する決め手となることを見つけました。言い換えると、市場がb波の弱いフラットを形成すれば、エリオットサイクルで出現するフラットにおいて、より大きな度合いのパターンが数個あるということです。
または、もしそのパターンが強いb波を持つフラットで、前のa波の161.8%以上のリトレースメントレベルである場合、それに続くc波がb波の全長をリトレースすることはできません。ですから、エリオットの全理論はただ論理的なプロセスなのです。市場が現在行っていることをもとに、次の段階を暗示します。
FX取引は、フラットパターンに容易に適合するほど、変動が常時あるものです。やらなければならないことは、変動のなかに衝撃波活動があるかどうか調べることです。なぜなら衝撃波はあまり一般的ではなく、論理的なエリオット理論プロセスが、この動きは修正波の可能性が高いことを示しているためです。
謎のC波について
これまでのところでは、フラットパターンをb波の長さをもとに3つに分類しました。さらに、各グループには3つのフラットパターンがあります。
c波の長さがパターンを決め、b波がカテゴリーを示します。ですから第一カテゴリーには、下記のように3つの状況があります。
- c波はb波の全長をリトレースしない
- c波は、前のb波の100%から138.2%の間で終わる
- c波は138.2%以上延長する
c波が5波構成を持つ唯一のフラットパターン部位である、または衝撃波であることを思い出してください。
上記の各状況は、b波が弱いカテゴリーに属する、フラットの異なるパターンとなります。
- ダブル・フェイラー(未完)のフラット
- bフェイラーのフラット
- 引き伸ばされたフラット– 紫色のa-b-c で、同じ度合いの二重複合の一部

第二のカテゴリーでは、同じく3つの状況が存在します。
- c波はb波の全長をリトレースしない
- c波は前のb波の100%から138.2%の間で終わる
- c波は138.2 % 以上延長する
これらを基にすると、対応するフラットは
- cフェイラーのフラット
- 共通のフラット
- 引き延ばされたフラット
最後に、第3カテゴリーのフラットは同じ前提で始まります。
ですから、第一カテゴリーでは3つの状況が存在するのです。
- c波はb波の全長をリトレースしない
- c波は前のb波の100%から138.2%の間で終わる
- c波は138.2%以上延長する
そして、対応するフラットパターンは
- イレギュラー(不規則)フラット
- イレギュラー・フェイラー
- 引き延ばされたフラット
c波の長さの3つの可能性が、フラットタイプを決めます。これが、全フラットカテゴリーに先がけて上述して触れた理由です。
9つのフラットタイプをここでご説明した以外に、もう一つあります。それがランニングフラットです。ランニングの概念はしばしば誤解されるため、取引アカデミーの別記事にてさらにご説明します。
上述した全フラットタイプは、何かを示しています。例えば、フェイラーのフラットは、反トレンドの強さを示します。
よって、フラットが弱気の修正または弱気の修正の一部であれば、そのシンプルな存在は、強気の状態の前兆となります。
二つのフェイラーフラットの間、つまりダブルフェイラーの間が最も強力です。80%以上リトレースしないb波と、b波を完全にリトレースするc波が、反対方法に大幅に動く余地を残します。
結論
フラットパターンは、エリオットが見つけた中で最も数の多いパターンです。FX取引でもそれは見て取れます。
最もよく観測するパターンがあるなら、それはフラットパターンです。通常のFXチャートを開き、市場が素早くリトレースするときのみ、前の高値または低値をとって両方向への変動を見てください。それがフラットパターンです。
トレーダーが何に重きを置くかによって、フラットパターンは大きな度合いでの分析に有効かもしれませんし、そうでないかもしれません。例えば、トレーダーが衝撃波を想定したけれども、市場の最初の変動が修正波だった場合、どこかに間違いがあるということです。
または、トレーダーがトライアングルを想定したけれども、セグメントの一つが衝撃波だった場合、そのセグメントはフラットのc波だということです。よって、トライアングルは存在しません。
理論の全てが、このような例で埋め尽くされています。結局これは、市場の変動が衝撃波なのか修正波なのかという、一つの質問に答えることから始まる論理的プロセスなのです。
答えが修正波なら、次の質問は、どんな種類の修正波なのか?です。フラットなら、どのカテゴリーで、どのタイプのフラットでしょうか?
この方法で全ての可能性を排除し、市場サイクルの正しい解釈がトレーダーの手元に残ります。トップダウン分析の一部であれば、論理的プロセスは月足チャートから始まり、4時間足チャートおよび1時間ごとの時間枠で終わります。
これがFX取引で機能する、エリオット理論唯一の方法です。